ヤカンの注ぎ口
盛岡駅前の「秋田美人」という店で、「鹿角ホルモン(秋田県鹿角市名産)」を肴にF君と飲んだ。年々どうでもいいことにむやみに頑固になっていく両親達と、今後いかに接していくべきか、ということについて語り合った。
「ウチの親父は、ストーブの上に置いたヤカンの注ぎ口をどこに向けるべきかということに、異常なこだわりを見せています。」
頃合良く火の通ったホルモンを口に運びながらF君が言った。
「ほう、ヤカンの注ぎ口を?・・・で、どっちに向けるんです?」
口の中のホルモンの脂をビールで洗い流しながら私が聞く。
「ストーブの後ろ側に向けるんだそうです。前側に向けると注ぎ口から沸騰したお湯が噴出して危険だから・・・。」
「あぁ、なるほどね・・・。」
F君が続けて言う。
「親父はそのことでウチの母親と以前、トコトン、徹底的に議論したらしい。」
「ふーん、議論をねぇ・・・。」と私。
「うん。・・・・で、その徹底的な議論の末に辿り着いた答えが、『ヤカンの注ぎ口はストーブの前側に向けるべきだ』ということだったらしい。」
店員が運んできた秋田名物「いぶりがっこ(たくあんの燻製)」に早速箸を伸ばしてF君がさらに続ける。
「もー、メンドくさいからそんなモンどこに向けたって大丈夫だって~!って父親に言ってやったら・・・」
「・・・言ってやったら?」結果はなんとなく想像がついたが、一応続きを促す私。
「そりぁもう、・・・・すごい言い争いになったねぇ・・・。」
残ったビールを一気に飲み干すと、F君はしみじみ言った。
















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